白陶獣面紋塤(けん)

登録番号 R000490
時代‧年代 殷代
材質
遺跡所在地 殷墟小屯遺跡 333号墓
遺跡名 中国河南省安陽県小屯村
寸法 高6.6cm 最大径4cm

概要

商代後期の本塤は、頂部に円形吹口を有し、空洞でやや膨れた腹部に5つの音孔を持つ。文様は音孔と巧妙に接合するよう設計され、丸孔が二組の獣面眼球部位に、小孔が獣面鼻端に其々位置する様彫られている。底部は平底で中央に「戉」の文字が陰刻されている。尚、今まで発見された白陶製塤は本一件のみであるが、史語所は此の他に商王大墓出土の骨頭製・大理石製塤を所蔵しており、何れも非常に希少な器物である。

塤は吹奏楽器の一種で、起源は新石器時代(今から約5000年以上前)にまで遡る。初期の塤は互いに信号を発する為か、或いは禽鳥の鳴声を模して誘き寄せる為の道具であったと考えられている。最初期の塤は吹孔のみを有したが、後の商代早期中頃では三音孔陶塤に発展、後期には5音孔 (正面三個、背面二個)を有する橄欖型へと変化し、七音音階を奏でることが可能となった。